ワスレナグサ



by
吟兎






−この想い、貴方には届かない……?


Ω1 ドドカナイキモチ
いつも貴方を見ていた。
そして、一喜一憂。

好きだった。
それでも、見てしまったから。


貴方が他のヒトといるのを見てしまったから……


勘違いじゃなければ、

あれが、勘違いじゃなければ。




勘違いであればいいのに……




それでも直接訊くなんて、できない。



答えが恐いから。
頷かれるのが怖いから。
肯定されるのがコワイから。



もしかしたら、違うかもしれない。
首を横に振るかもしれない。
否定してくれるかもしれない。





この想い、貴方には届かないのですか……?

<作者より>

旅路のネタ考え中なので、こっちを進めます〜!!
こんなにも貴方が気になるのは何故でしょうか?


Ω2 スキダトイウキモチ
「おっ……お早う!!!早いんだね。」


朝、彼を見つけて挨拶をする。

あたし、鈴村果林は、彼、松村俊一くんが好きです。


「おう鈴村。俺は部活の朝練。鈴村こそ、早いな?」

「う…うん。早く目が覚めちゃって……」


嘘。貴方に会いたくて、わざわざ目覚ましを早くセットした。

一秒でも、一瞬でも、貴方の側に居たかったから。


「へぇ、鈴村って早起きなんだな。」

「そんなことないよ。ただ、昨日早く寝たんだ。それより、」

「?どうした?」

「松村くん、昨日、駅前の書店に居たでしょ?知らない女のヒトと。」


やった。ストレートに言えた。


「ん?鈴村もその日そこに居たのか?」

「うん。ちょっと用事があって。」

「そっか〜。声掛けてくれれば良かったのに。あ、あれは従姉。」

「そうなんだぁ……。」

「じゃ、俺朝練。じゃな。」


そう言って松村くんは歩いていく。


ふと、昨日の光景を思い出す。

その従姉さんは確か、松村くんと腕を組んでいた気がする。
従姉さんも松村くんも、楽しそうだったな…。



従姉と言ってももしかしたら付き合っているかもしれない……?



ふと、そんな考えが出てきた。
また、不安になる。

不安は消えなかった。
確かめたいと思った。
でも、松村くんに、あたしのキモチがバレてしまうかも…?






「ま、松村…くん?」


恐る恐る、松村くんを呼んでみる。


「松村くん、好きなヒト、いるの……?」


訊いてしまった。
あたしのキモチ、判ってしまったに違いない。


「何いってんの!いないよ。
 いきなりそんなこと訊くなんて変だな鈴村?」

「う…ううん!何でもないの!友達に訊かれてっ///」

「そ、じゃな。後で。」


良かった。気づかれていないみたい。
ちょっぴり安心した。
けれど、同時に残念なキモチもあった。


「じゃ、教室いくかっ。」





鈴村が見えなくなったところで、俺は立ち止まった。


「っ……びっくりした…。」


鈴村に告られるのかと思った。
でも、友達に訊かれたからといわれて、
安心したような、残念なようなキモチになった…

俺は嘘を吐いた。
好きな奴がいないなんて嘘だ。

本当は……


好きな奴がいる。


なのに…俺は
嘘を吐いた。

好きな子に、嘘を吐いた。
気づかれたくない、この気持ち。





    好き合っているのにすれ違ってしまうのは、

          神の悪戯でしょうか………?


                 To be Continued...
Ω3 スレチガウキモチ
あたしは、大きなため息を吐いた。
なんだか全ての歯車が上手く回っていないような、
そんな気分。

「果林おはよっ!どうしたの?ため息なんか吐いちゃって。」

親友の木下綾香が声を掛けてきた。

「あ、綾香…いや…ちょっとね……。」
「わかった。また松村くんがらみでしょ?」
「う…」

図星だ。鋭い綾香には隠し事はできない。
というより、あたしが単に顔に出やすいからかもしれない。

「で?どうしたの?昨日見たって話、聞いたの?」
「うん…従姉さんだって。」
「じゃあよかったじゃんかぁ。なんでそんなに暗いのさ?」
「だって…従姉だから好きじゃないとは限らないじゃん…」

あたしがまた落ち込みはじめると、
綾香が言った。

「なんで果林はそうマイナスに考えちゃうの?もっと前向きにいこうよ。」
「うぅ…でも……」
「でもじゃない!好きなんでしょ?」
「そうだけど…」

すると背後から声が掛かった。

「おはよ、鈴村。っつっても二度目か。」

松村くんだった。

「ひゃわっ!」
「あ?驚かした?悪い。」
「う、ううん…。」

ヤバい。心臓がドキドキいってる。
これは、驚いたから?

いや、それとも、松村くんが側にいるから?

「あ、それよりさ、松村くん!果林に英語教えてあげてくれない?
 果林、今日当たるんだけど、あたし、苦手なんだよね…。」

綾香が話題をすり替えた。

ってえぇっ!?
ま、松村くんに勉強教えてもらうの…?

「ん?あぁ、別に良いけど?」

って松村くんOKしちゃったしぃ…
ヤバい、心臓が…ドキドキが止まらないよぅ…!!





な…何をいうんだ木下はッッ!
いや、別に嬉しくないわけじゃないけど…。

もしかしたら、俺の気持ちに気がついて…?

そしたら、木下エスパーだよな…

いや、そうじゃなくて!
ついOKしちゃったけど… 俺、英語得意じゃねぇっ!





「うふふっ… あたくしの松村さま…w邪魔者は…即排除。」




    恋に邪魔者は付きモノなのでしょうか…?


              To be Continued...


《次回予告》
 
 次回、果林に恋のライバル現るっっ!?!?(笑