母は虐待を知らない



by
かおり



                   


「痛い!!痛いよおかあさん!!」



「うるさい!あんたなんか死んでしまえ!!」

海鈴優貴(umisuzu yuki)中学一年生

父親の葬式の後の事件

泣き続けていた母が突然優貴に殺気の目を向けた。

そして突然イスを投げてきた。

優貴は命中しひるんでいたときに、母親に殴られ続け
た。

『お母さん?これはどんなことか知ってる?”虐待"っ
て言うんだよ?私が警察に言ったら、お母さん捕まっ
ちゃうから、私言わないよ・・・?』

優貴は目をつぶって耐えていた。

痛みをこらえた必死でこらえていた

母親を犯罪者にしたくないから。

母親だけでも側にいて欲しかったから。

「ふふっ・・・・あんたのせいであの人は死んだのよ?!」

母は、またお腹にケリを入れた。

何故あんたのせいかって?それはね・・・・
今から丁度三時間前のこと・・・・。

お父さんと私はテニスコートに向かっていた。

テニスボールをしっかり握っていたはずだったけど私はテニスボールを落としてしまった。。。

いそいで取りに行こうとして、慌てて飛び出したら

車が・・・・。



バン!!!

もの凄い音がして振り向くと

後には血まみれのお父さんがいた。

「なんで私怪我してないの???」

私は、ずっとそう思っていた。

そして気づいた。


父さんは私をかばって死んだんだ・・・・と。



そして今に至る。

お母さんは

今お母さんがしている事が虐待という犯罪だということを知らない。

優貴は我慢する。

「ごめんなさいお母さん・・・・」

それだけを何度も何度も呟いた。

それでも母は叫ぶ

「ゴメンっていうなら死になさいよッッッ!!」

母の目にはかすかに涙が光っていた。
「お母さん泣いてるの?・・・」

優貴は恐る恐る聞く。

殺気がかった瞳に薄っすら涙が浮かんでいた。

その涙が今にもこぼれ出しそうだった。

「泣いてなんかいない!・・・もし泣いているのだとしても、それはあんたが生きているからかもね!!!」

そういって高らかに笑う。

”それはあんたが生きているからかもね!!”

優貴の頭にはその言葉だけが浮かんでいた。

お母さん?

お母さんは

ワ タ シ ガ キ ラ イ ナ ノ ?

「お母さん・・・私のこと嫌い・・・?」

優貴は聞く。

「当たり前でしょ!この人殺し!!!」

そう言って、優貴のお腹を蹴る。

「っ・・・・分かった・・・もぉ・・・殴っても蹴ってもいいよ?・・・私で気が晴れるなら」

そう言って優貴は目をつぶった。

母親の為なら命を捨てる思いで。

母はあいかわらず優貴を殴る蹴る突き飛ばす・・・その繰り返し

「痛ッ・・・・・ん・・・・」」



学校
「優貴?!何そのアザ!!」

同じクラスの友達が聞いてきた

聞かないでお願い。言うのが怖い・・・。

優貴はそう思いながらニコリと笑った
「大丈夫何でもない」

只それだけしか言わなかった。

自分がゆういつ安らげる場所

そこにも虐待の事がばれたりしたら

きっと同情されたり、もしかしたら友達がいなくなるかも

そう考えると物凄く悲しくなって

優貴は虐待の事を黙っていた。

ゆういつたった一人虐待の事をしっている人が居る。

幼馴染の青山堅(aoyama ken)

堅はいつも優貴を慰めてくれた。


堅宅
「どうしたよ?!急に」

「家に帰るのが怖くなって・・・・。」

優貴はいままで我慢していた涙を流した。

「おいおい泣くなよ?」

堅は大きな優しい手で優貴を撫でた。

「うぅっ。堅って私のお兄さんみたぃだね・・・。」

「じゃ兄貴になってやろうか?」

堅の目がキラリと光った。

「いいょ。堅も・・・何かされるかもだし。」




優貴宅

「只今・・・・」

「お邪魔します」

「あら、いらっしゃい。」

堅の前だと何故か優しくなる母。

何も知らないと思っていいきになっているのかもしれない

「おばさん。ちょっといいですか?」

「はい?」

堅が母を呼ぶ。

そのすきに優貴は、父の写真を用意した。

その写真を堅に渡す。

「これは誰ですか?」

堅が静かに聞く

「!これは・・・」

一瞬戸惑う母

「し、知らない男性です。」

母はそう答えた。



「おばさん嘘ついてるよな・・・」
「当たり前よ」

父をしらないはずはないと優貴は言った。

「だよな・・・・」

堅も納得する。

次の日に起こることもしらずに

次の日

優貴は母に近づいて聞く

「何で、お父さんのことしらないって言ったの」

少し小さな声で聞いた。

「あんな人思い出したくもないわ!!!!」

そう言って優貴を睨みつける。

優貴は逃げ出したかった。

この殺気のまじった目に耐え切れなかった。

「お母さん?優貴が家出したら?喜ぶ・・・?」

優貴は聞くきっと答えは「当たり前」だろう。

「当たり前よ!!!出て行きなさいよ!!!!!」

そういって優貴の髪をつかむと玄関まで引きずっていく

「痛い!!痛いよぉ!!!」

優貴は涙を我慢しながら叫んだ

扉を開くと優貴は外に追い出された。

「お前のモンだよ!早く消えて」

母はそういうと袋を外に放り出して家に入っていった。

優貴は扉を叩いても無駄と思い

堅の家へ向かった。
「優貴?!どうしたよ?」

堅は驚いて聞く

「お、おいだ・・・されちゃった・・・」

優貴は涙を流した。

「優貴・・・・・。」

堅は優貴を家の中に招き入れると

「さて、何があったかお兄さんに話してごらん」

と明るく言った。

「う・・・ぅん」

優貴は堅にだけ話した。

「それぐらいで?追い出された?」

「うん・・・・。」

「優貴、遊びにいこうぜ!気ィ晴らせよ!」

「ありがとぉ・・・堅」

堅は優貴を引っ張って、バス亭まで向かった
「俺ジュース買ってくる」

「まって私も行くから」



ジュースを買い終え、元の場所に戻ろうとしたとき


「キャーーーーーーッッ」

と物凄い悲鳴が聞こえた

「何・・・・?」

優貴はぼかんとしていた

「優貴危ない!!!!」

堅が優貴を押した

「ったぁ・・・何す・・・・」

キキキキキキキィ

「!・・・・・け・・・ん?」

ザワザワ

音がした方から、叫び声や話し声が聞こえた

「なんて・・・・」

「これって、あの4丁目に住んでるアノ子じゃない?」

「えっと確か名前は・・・」

名・・・前は?・・・
「青山堅君・・・・」

堅・・・・?

堅ってあの堅?

あの優しい堅?

私の心の支えだった堅・・・?

あの

私の大好きだった堅?

「そう、そうその子よ」

神様・・・・

あなたはどうして

私の大切な物を

ス ベ テ ウ バ ッ テ イ ク ノ ?

優しいお母さんも

大好きな堅も

いつも遊んでくれたお父さんも

皆なんで

私の体から抜けていくの・・・・?

「堅・・・・・・?」

涙が溢れ出した。



病院
「かなり危険です。」

先生が結論をだした

「手術でもしかしたら治るかもしれません・・・がご覚悟願います」

私は体中から生気が抜けたようにソファに座っていた

神様

お願い

堅だけは、私の側にいさせてください

              
母は虐待をしらないA


「何で帰ってきたの?!もう二度と帰ってこないかと思ってたのに!!!」

母は笑う

「お母さん私が死んだら・・・・喜ぶ。」

優貴は言った。

そして

「堅が死ぬかもしれないよ」

そう言い放つと

お母さんの前に出た

「殴って」

優貴は目をつぶった

母の手が飛んでくるのが分かった。

バッシィィィィィンッ

優貴はその場に崩れ落ちた。

母は優貴を殴る蹴る

そして大きな声で笑う

「堅君?!はっあんな子、ただの幼馴染じゃない!!そんなことで殴られるのをさけようたって無理だからね」

ただの・・・・・?

違うただのじゃない

大切な幼馴染

心の支えだった人。



病院
「手術はなんとか成功しました。」

病院の先生が言う

堅の両親は大喜び

優貴はその場に立って静かに泣いた

堅・・・・生きててくれて有難う

優貴は堅の病室に向かった

「堅!」

堅の病室に入ると堅に抱きついた

「良かった・・・・」

「お前誰」

「え・・・・?」

誰も入ってきた人はいない。

なのに

”お前誰”

「わ、私・・・・だよ?」

「しらね〜んな女」

堅・・・・?

神様

堅はどうしたんですか?

私を覚えてない・・・?

記憶喪失・・・・?

お願い離れないで。

ア ナ タ ダ ケ ハ ソ バ ニ イ テ 
母は虐待をしらないB
「一種の記憶喪失です。」

「何で私だけを?」

「それはまだ・・・頭を酷く打ったのが原因かもしれません」

堅?

堅は

私の幼馴染だよ・・・ね?




「ただいま」

「帰ってくるんじゃない!この溝鼠!」

家に帰ったとたんに母に怒鳴りつけられ殴られた

優しかったお母さん

昔は・・・・良かったな

三年前
「お母さん!ご飯まだ?」

「まだよ?ふふっ優貴は本当に、食いしん坊ね」

「やだぁ違うよぉだってお母さんの料理美味しいんだもん!」


大好きだった優しいお母さん

あなたの心はもう

コ コ ニ ハ ナ イ ン ダ ネ 

堅だってそう。

私のことを忘れてしまった堅。

もう

ア イ ナ ン テ イ ラ ナ イ 

あいかわらず母は優貴を殴る

「早くでていきな!!」

「お・・かぁさ・・・んおな・・・かすい・・・たよ・・・」

「お前に食べさせる物なんかないよ!出て行け!1」

優貴はその言葉に絶句した。

そして。

「みんなどうして私を愛してくれないのよ」

そう思い続けた。

「死んで」

母はそう言い放った。

そういってお腹を殴る。

優貴は意識を失いかけた

意識が朦朧としてくる。

「痛い・・・お腹・・・」

母は優貴の背中を踏みつけた。

優貴は倒れた。









「起きた?!優貴ちゃん」

お祖父ちゃんお祖母ちゃんが、優貴に優しく話しかけてくる。

「っ・・・私・・・一体・・・?」

「言いにくいこといっていいかしら」

「?」

「お母さんのこと何だけどね・・・?」

「おかぁ・・・さん?」

伯母の話によると

優貴が気を失い、一時間程したとき

警察がどたどたと入り込んできた。

「お前を逮捕する。」

「な・・・?!何もしてないわよ?!」

母は必死で抵抗した

「お前は娘を虐待した。」

「は・・・?ぎゃく・・・たい?」

母は虐待をしらない。

「それは恐ろしい犯罪なんだぞ?!」




そう言うと、警察は母を無理矢理連れて行ったそうだ
母は虐待を知らない C(最終編)
「そ・・そうなんだ・・」

『そうよ・・。どうする・・?家・・』
優貴は悩んだ。

『家にきなよ!いい考え』
そういって優貴は家へ・・

――時間は哀れにすぎていく――――

「お母さん・・・」
優貴はお母さんにあいたくなり、パンなどをもっていった。

警察の人はこういった
「駄目だ駄目だ!また虐待されるかもしれんぞ!」

『お母さん!』

優貴のお母さんには聞こえたがこういった
「なあに?パンなんかもってきちゃって・・一人で私の前で食べる気!?」

『違うよっお母さん!』

怖かったお母さん・・
優しかった堅・・

モ ド ッ テ キ テ ・ ・


優貴は家に帰った・・けど・・

「お母さんにあいたいよ・・」

また明日いこう・・!
優貴はそう決意しました。

次の日

『あの・・お母さんにあいたいんですが・・』
すっごく怖そうな警察の人がいた
けど・・・・
「あ、いいよー(にっこりと笑う)」
あっさりと。

お母さんにあった。

「ゆ・・き・・」

「お母さん!!ほらっパンだよ・・!」
「優貴・・もういいの・・私が悪いわけだし・・」

「お母さん・・ろうやからでて」

警察の人は
「優貴ちゃんが望むことなら、悪いことはない・・だが、
虐待されたらすぐにくるんだぞ」

「はい!」

そして母と一緒に帰った・・

堅 、 今 ご ろ ど う し て る か な ・ ・

「優貴!」

「堅・・・」

どどどどうしたの・・!?

俺、記憶思い出したんだ!

「へ・・?」
「とゆーわけで、これからもヨロシクッ♪」

「・・・・うんっ・・!」

本当によかった・・・
お母さんはやさしくなって
堅は記憶を取り戻し・・

とっても嬉しかった

――――――家――――――

優貴:お母さん!ご飯まだー??
お母さん:ふふっ、まだよ。優貴ってくいしんぼうね。
優貴:お母さんの料理おいしいんだもんっ!


――――――学校―――――

堅:優貴ー!話がある。
優貴:うん?何?

堅:好きだ!

優貴:うん・・!私も・・!


いつまでも、こんなに嬉しいことが

つづくといいな★

終り