( 無 題 ) 



by
玲於



桜の花びらが 舞い落ちる

その時 私は 大切な人を失う
始まり
桜の花が 満開になった頃 私は 彼に一目惚れした
彼は私を知らないだろうけど 私は知っている
これはとても 哀しい事。

「雛菊さん」

呼ばれた方を見ると 彼が。
何故私の名前を知っているのだろう?

「・・・つか瑪瑙。」

何故か下の名前も知っていて 呼び捨てしている。
私は 彼の名前すら 知らないのに.....

「え?もしや憶えてねぇ?」

分かる訳無い だって知らない人でしょう?
接点なんて無かった 筈

「うん。」

「うんじゃねぇー!!」

ばこんっと彼に殴られ、頭を押さえる

「い、痛いっ!!」

「本当に忘れたのかよー。道屡雫 令だよ」

は?え?道屡雫?

「ははははははははは、冗談よしてよ、令な訳――――」
 
彼は 自分の 首筋を指さす
令には 首筋に 傷がある
それは 十字架の 傷
彼にも 有った

「・・・あった」

「ったく。てか高校同じなんて、偶然だな!」

私には眩しい程の笑顔を 私に向ける

「・・・本当に・・・ねー」

私は苦笑するしか無かった
妖しみの光
「めーのーうー!!」

「うっせ!!」

もうね、五月蠅い。五月蠅すぎ。御前。

「瑪瑙ってば、俺に冷たすぎ」

「いや.....それは.....そのぅ.....」

好きだからなんて言えませんぜ。
てかね、なんでいきなりまとわりついてくるんですか
・・・つか、君の事狙っている人多いんですよね。微妙に。
女子の目線が痛いです。うん。はい

「・・・道屡雫君」

「はい・・・?」

恐る恐る 声を出す 令

「何で雛菊さんと仲良いの?」

「え、彼女」

普通の女の子だったら 顔赤くなって否定するんだよね
でもあたしは 真っ先に 顔が歪んだ

「は?違うから」

「ええええええええええええ、違うの?」

「なんでそこも勝手に決定してんだよ、真奈ちゃん」

真奈ちゃんは声を掛けてきた女の子。
令のFANかなあ?

「令がどーしてもって言うなら付き合ってあげてもいいけどぉー?」

「しゃーねーなー、瑪瑙が俺様と付き合いたいって言うから俺も格下げしちゃるよー」

「ちょ、人聞きの悪い」

「悪くないもんねー」

私達を 怨念の籠もった目で見つめている 存在に


未 だ 気 づ か な か っ た ......
裏の顔
「はははははっはっははっはははははは・・・!!」

狂っているぐらい笑い転げているのは
令。まじ御前 表と全然ちげぇよ。

「・・・令五月蠅い」

「だって・・・!あははははははははははッ!!」

マジうぜぇ

「・・・もう良いわ。令大嫌い。帰って」

「!!ごめっ!!許して!!お願い!!」

・・・そんな顔で謝られると・・・

「令可愛いっ!!」

私は令をぎゅっと抱きしめる
あの日から実は付き合い始めているのだ。
幸せすぎて 恐い

「ねー、令」

「んー?」

「ぶっちゃけ言うと、本気で好き」

「めーのーうかーわーいーいー」

・・・
可愛いとか初めて言われたんですけど


はい。言います。
道屡雫 令は 裏の顔・・・てか素では すごい爆笑します。
狂ってます。 
憎しみ
「雛菊さん」

・・・またか
令が居なくなったら女子に リンチ。うん。泣きたい。
真奈ちゃんはしないけどね。うん。
なんで真奈ちゃんが前聞いたかと言うと
只聞きたかったからなんだってー
真奈ちゃんの好きな人は他に居るらしい。あーびびった。

「ちょっと顔貸してくんね?」

こ、恐!!恐恐!!

「いや.....あのぅ.....いやぁ.....」

何言おう・・・

「えーっと・・?勝負するなら堂々としろ?んー、違うかー・・・何なんだ・・・」

「雛菊さんは何が言いたいの?」

女子達は苦笑して私を見る。
私も苦笑を返す

「頭悪いから分かんないよ、こう言うときなんて言えばいいの?」

「もう...雛菊さんの馬鹿さには負けたよ...今日の所は見逃してあげる....明日はちゃんと考えて置いてよね!」

いや、そういう問題なんですか
てか私の馬鹿さってなんですか
失礼ね まったくもう
でもとにかく助かったのね.....

  そ の 瞬 間  

ぞわっと背中に寒気を感じた
それと同時に 視線を感じた
視線を感じる方を向くと 怨念の籠もった目で 睨み付けてくる女の子が 1人居た

「・・・恐」

ぼそっと呟き、何も無かったかのように 向きを戻す

オマエヲ殺ス

そう聞こえた気がした


     愛しい

「ねぇ、瑪瑙」

「ん?」

令が問うてきた 何なんだろうと寝転がっていた躰を少し起こす

「俺も、マジ愛してるから。瑪瑙のこと」

軽く唇が触れるぐらいの軽いキスを交わした
ふと瞼を閉じて 考えた
令は 何故 私を.........

「令、何であたしが好きなの?」

「好きなのには理由は無いよ。只、好き。直感が言ってる。瑪瑙の全てが好き。愛おしいと思えるんだ」

そうキザな言葉を令は私に投げかけ、首筋に軽くキスをした

「あたしそういうキザな言葉に弱いんだよね。でもキザな言葉が似合う人って居るよね。令とか」

「嬉しいんだか嬉しくないんだか複雑な気分になるよ、それ」

令ははは、と笑って私を見る
あたしはにこっと微笑んで令の肩に頭を乗せた
令は静かに微笑んで私の頭を優しく撫でた
終わりに
もう 桜の花びらが 落ちてきている
そんな日の事。

「雛菊さん......死んで!!!」

ある女の子....あの睨み付けてくる女の子....に呼び出され、ナイフを私に振り翳してきた
嗚呼、死ぬんだな。と思った
死ぬんだったら 痛くない死に方をしたかった....と殺されそうなのに何故か冷静な私。

グサッ 

鈍い音が発された。 なのに私は何処も痛くない。

「きゃああああああああああああああ!!」

女の子の叫び声が聞こえる。 私は閉じていた瞼をうっすらと開く。
すると目の前には ナイフが刺さった 令

「れ、令!!」

「めの・・・う・・・無事で・・・よかっ・・・」

げほっと咳を付き、血を吐く

「話さなくて良いから、お願い、死なないで!」

女の子は 泣き崩れて居る。
私はその様子に 腹が立ち 怒鳴った

「めそめそ泣いてないで、保健医を呼んできてよ!!」

女の子は泣きながら立ち上がり、走って行った

「令・・・ごめんね・・・あたし、死んでも良かったのに.....」

「駄目だって....瑪瑙死んだら俺どうすりゃいーの....」

「あたしもそうだよ!!令死んだらあたしどうすれば良いの・・・・!」

令の力が抜けた手をぎゅ、と握り 言った

「俺は駄目だよ....もう..死に際だよ....」

「令・・・!令・・・っ!」

私は只ひたすら 涙を流すだけで
その涙 一粒一粒に 癒しの力が宿るのならば 
令を救うことが出来るのに と そう思い 涙を流している
無理だと分かっていても 愛しい人を無くしたくない
その気持ちが 強いから....

「雛菊さん!道屡雫君は!?」

「此処です!!」

涙を拭き、頑張ろうと決めた
未だ死んでいない 希望は有る
その希望も 捨てたくない
本当の終わり
あれから 彼女は 逮捕された
私に 謝りに来たが そう簡単に許せる事では無い

はあ、と溜息を付く
あれから どれだけ経っただろう

2ヵ月とちょっと....かな。

寂しいよ....令....

    end....