( 無 題 ) 



by
玲於





空を見た 涙が込み上げてくるのが分かった
何時も 悪いことが起こるのは大抵空が綺麗な日だった

恐怖症に近い 弱くて 弱くて しょうがない

自分でも分かる 分かるけれど 出来ない

ある人に言われた
やってみなくちゃ分からない。だから初めから無理だと決めつけるのは止めようよ。
・・・そんなの無理なんだ。
初めから決めつけちゃうんだ。

逃げてるんだ 自分にとって不利な事、嫌な事から。
只、背を向けていただけなんだ。

『逃げ道はない』

そう言われた夢を見た
精神的にも追いつめられている。

何時も 胸が苦しくて
只泣くことしかできなくて

 泣 く ば か り で 前 を 向 く 事 な ん て 出 来 な か っ た ん だ 


何時も否定的に考えてしまって マイナス思考だからって自分を嘲笑った
何時も物事をマイナスに運んでしまう 自分が嫌だ

畜生、畜生、畜生...............

思い通りには行かない これが人生
だからこそ 楽しい なんて言うけれど

そんなこと思えない それが悲しい

見違える程 強くなりたいなど 考えたりする
自分が強い人間で有れば 何にでも耐えられる筈なのに

自分が弱く生まれてしまったから こんなに傷付いている
周りなんか見る暇なんて無い

自分の事で精一杯なんだ


他の人に嫌われない様に 一生懸命になるけれど
それは どちらにしても 自分を傷つけていることになる。

貢いで 使われて それでも我慢して
嫌われるのが恐くて 抵抗もしないで
終いには罵られて それで終わる

そんな人生 要らない


恋だってそうだ 
人を好きになっても 自分だったら無理だ...と 自己嫌悪に終わる

友人にも言われる
何故そんなに マイナスに考える?

自分に自信なんて持てない 自分が大嫌いだ
その人の為になら 消えたって良い
そう思える程 想っているのに

結局 想いを伝えないのは
自分が傷付くのが恐くて 恐くて 恐くて
逃げて 逃げまくる 奈落の底まで

自分が嫌で 堪らない
死にたいと考える事は多い

ある日 彼女に会って 変わった

彼女も色々有ったらしいのだが 彼女は強い
他の人の事を 良く理解し 慰める
彼女に 問うてみた

「何故そんなに強いの?」

彼女は微笑んで答えた

「過去が有ってこそ 今の私が居るの」

「過去を消したいって思ったこと、有るの?」

言ってから後悔した 
何故なら 彼女の顔が哀しい様に歪んだからだ
謝ろうと口を開き掛けた時 彼女が言った

「有るわよ。でももう過去は過去。今は今。過ぎた事はもうやり直しは利かない。後戻りも出来ない」

彼女は少し吐息を付き、その後大きく息を吸い、伸びをした。

「貴女も色々有るようね」

にこりと微笑んだ 彼女はとても美しかった
まるで後光が 差すかの様に。
嗚呼、何故彼女には分かってしまうのだろう
何もかも 見透かされている気がする

彼女に 全てを吐いた
彼女は嫌な顔ひとつせず 最後まで聞いてくれた
それだけでも 嬉しかった

「そっかあ。大変だったね」

彼女が話を聞き終わって言った

「でも、いつもマイナス思考で居て、無理ばかりしてると限界来ちゃうよ?」

彼女が顔を覗き込んできた

「今だって 作り笑いでしょ?」

図星。
彼女は 超能力者なのか?

「偽の自分を作って 自分を護ってるつもりでも 結局は自分を傷つけている事になるわよ」

静かで落ち着いた声
何処か安らぎ 安定感があり 和める

「無理に 自分を作らなくて良いのよ 咲妃ちゃん。自分が素で居られる友達を捜しなさい」

彼女が肩を抱いてくれる
今まで 堪えていた物が ぶつりと音を立てて 切れた
それから1時間強は泣き続けていた。


それから 彼女の言う通りに
自分を少しずつ変えてみた
それだけでも 十分雰囲気も変わったと 友人は言う。

『まず、自分の良い所を言える様にならないとね。最低2つは言えないと。』

『自分を好きになってあげないと 相手も好きになれないわよ?』

彼女の言うことは 本当に 自分の支えとなる
心の底から感謝している。 有り難う。

今の自分では考えられない程 昔の自分が 鬱陶しく思える
うじうじしていて ハッキリしなくて 
馬鹿らしい と思う
それと同時に 彼女と出会わなければ 今の自分が無いのだと思うと
背中に ぞわっとするものが有った

彼女は いつの間にか 消えていて
友人に尋ねてみた
だが 誰も彼女の事を憶えていない。
只 違ったのは
皆、彼女と出会って 変わった所だけは変わっていなかった。

彼女は何者だろうか と今もずっと疑問だ。
きっと 皆に幸せを運ぶ 天使みたいな物なのか と考える。

 彼 女 の 魔 法 に 掛 か り   自 ら  変 わ り だ し た 私 達 

今日も 彼女と出会った日の事を考え 空を見る
彼女と出会い 空が恐くなくなった 
むしろ 愛する様になった
彼女は 私にとっての 一番の.................................







        End....