けれどそれは夜空が輝くように



by
小日向はやみ




「はぁ〜・・・」蒸し暑く、そして薄暗くせま苦しいマンションの部屋から、もうなにもかも絶望した
ような、まったくといっていいほどの気力のないため息が静か過ぎる部屋にひびく。
「はぁ〜・・・。」聞いているだけで、とてつもない無気力さが感じられてしまうため息がまたもや
静か過ぎる部屋にひびく。
そんなため息の発生源である 青葉 樹(あおば たつき)はゆっくりと寝返りをし、あお向けに
寝そべる。
このなにもかもやる気のなさそうにだらけている青葉 樹は、高校をギリギリの成績で卒業し、
大学に落ちてしまった浪人生である。大学に落ちてしまったなら、ごく普通の浪人生として次の
大学に向け、がんばればいいのに彼は、見てのとおり無意味なため息を連発しまくり、
ボーッと天井を見上げながらボーッと寝そべっているばかりである。
「・・・はぁ〜」
またため息がもれる。何もする気になれない。
喉が渇いたとか、お腹が空いたとか、少しは考えたりはするのだが、どうしても、
それを実行する気にはなれない。一応は、食べたり飲んだりするのだが、食べ物は、
コンビニ弁当等の栄養の偏った物ばかりで、しかも食欲もあまりなく、
ほとんどいつもそれらの食べ物を残してしまっている。
「・・・。」やる気がでない。無力すぎて声もでない。樹は無心に目を閉じる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トゥルトゥル トゥルトゥル。」
はっ!っと何かの音で目をあける。その音は電話のベルだった。「トゥルトゥル。」電話はなり続ける。
電話に出なければ 出なければとは思うがいつものように行動すり気になれない。面倒くさい。
「トゥルトゥルトゥルトゥル・・プツッ。」
しばらくすると電話は切れ、樹はなんとなくホッとする。
「トゥルトゥルトゥルトゥルトゥル」しかし、電話はもう一度かかってきた。
そして、「うるさいなぁ、俺は今いそがしいんだよ。といい加減な言い訳の独り言をつぶやく。
「トゥルトゥルトゥルトゥル・・・プツッ」そして電話は切れる。
樹はもう留守だとおもってかけて来ないだろうと思いふただびホッとした。
だがその考えは甘かった。
「トゥルトゥルトゥル・・・・」
電話はまた鳴って一向に切れる気配はない・・・。
樹「!!!」ここまでくると樹はビックリする。だが、樹も負けずと電話にでない。

そしていつしか電話にでないかでるかの勝負になってゆき・・

この繰り返しが5回以上も続く。
樹はとうとう、電話という騒音に耐え切れず、電話にでることにした