天使



by
氷雨




@* 天使
天使と天使が結婚式をあげている・・・・。

もちろん、人間のいるところではない、天使の国で。


「二人の結婚に、乾杯!」


あたりはいつまでもガヤガヤ。

そして、やっと式が終わったときにはもう、

時計が0時を回っていた・・・。




そして調度三ヶ月後、その二匹の間に子供が出来た。

いや、タマゴが生まれた、といったほうがよさそうだ。

二人は大喜び。


「どんな子供が生まれるのかしらね、セラミ。」


と♀の天使。


「さあね。でも楽しみだな、ピコラ。」


と♂の天使。


まだ紹介していなかったが、♂の天使の名はセラミ、

♀の天使の名は、ピコラといった・・・。



ここまでは、一般的な行動だった。

しかし、少しあとに、奇跡のように大変なことが起きる。

もちろんそんなこと、セラミにもピコラにも、

分かるわけはなかった・・・・・。
A* 不思議な物体
その頃、人間界のある少女は、

学校から帰ったあとで、家でゆっくりしていた。

こちらでも、これからおこる奇跡に近い大変なことが、

おきることを知らずに・・・・・・。


やがて時間はすぎていき、夜になった。

夜ご飯を食べた少女は、

またベットの上でごろごろしていた。


その時。


空が一瞬光ったのだ。

その少女は窓の前に立ち、今光ったところを、

じーっと見ていた。


すると・・・・?


そこから、不思議な物体が落ちてきた。

その不思議な物体は、動き方も不思議で、よろよろしている。

そして、いつのまにか、

部屋の窓をぶち破って、その少女の部屋へ飛び込んできた!



まさに、これが奇跡のような大変な出来事の始まりだった・・・・。
B* タマゴ
おそるおそる、その物体をのぞいて見た。

何のかまでは分からなかったが、

何かのタマゴだということは大体分かった。

そんなとき、お母さんが、


「今、がっしゃーんっていう音がしたけど、どうかした?」


少女はあわてて答えた。


「い、いや、ななななな、なんでも・・・ない・・・ハズ。」


「まあそう。ならよかったわ。」


反応の鈍いお母さんということが幸いで、

少女があんなしゃべり方をしても分からなかったのだ。

そして、もう一度少女はタマゴをのぞいて見た。

やっぱりただのタマゴだった。

少女は、とにかく毛布をかけて、暖めてあげることにした。

そして、その少女は寝た・・・・・。
C* 天使の世界
「きゃあーーーーーーーーーーーーー。」

「おーーーーーーーーーーーーーーい。」

「あーーーーーーーーーーーーーーー。」

「うわーーーーーーーーーーーーーん。」


天使の世界では、大惨事が起こっていた。

セラミとピコラの間にできたタマゴがなくなったという。

二人が探していると、

「どうしたの?」

と話しかける人も多く、説明したら、

そこらじゅうに話が広まったのだ。

それで皆がこんなに叫び声をあげているのだ。

「どうしましょう・・・セラミ。。。私たちの・・・・子が・・・・。」

「わかんねえよ。だれのしわざだよ。もう・・・・だめだ・・・・・。」

そういいながらも皆、一応は探していた。

が、もうあきらめかけている人も、少なくはなかった。

そしてその日は夜となり、結局見つからないままその日は終わった・・・。



もちろん見つかるはずはなかった。

タマゴは、不思議な物体となり、人間界にあるからだ。

そう、不思議な物体は天使のタマゴだったのだ。
天使
その頃、人間界では6時だった。

少女はいつも7時に起きて、7時半に学校へ行くので、

まだ寝ていた。

すると、枝かなんかが割れるような、音がした。


「パキパキッバキッゴソゴソゴソッ」


その音で、少女は目覚めた。


「まだ6時じゃない。まだ寝よ・・・・・・あ・・・・・・」


少女は寝ようといおうとしたが、途中でその声はとぎれた。

少女は、今見た光景に対し、口をポカンとあけている。

部屋がキラキラと、輝いていた。

よく見ると、その光はある一点の場所から光が来ている。

おそるおそるそこまで行き、のぞいて見た。


「何してんの、なんかゴソゴソうるさいわよ。」


お母さんが言った。

しかし、少女はそんな声など耳に入らなかった。

光の一点は・・・・・・。

昨日暖めておいた天使の卵だった。

そして中から天使が生まれていた。


「こんな事・・・・あるはずない・・・・。絶対に、、、ユメだよ、ユメじゃなきゃありえない・・・・・・・・・・・。」


そういいながら少女はほっぺたをつまんでみた。


「イテテテテテッ」


そう、これはユメではない。現実なのだ。
D*名前
タマゴから出てきた天使は、

白い羽がはえて、頭の上にはわっかがついていて、

とても可愛らしかった。

そして一言言った。


「ハジメマチテ、ココ、ドコナノ?」


「えっと・・・ここは私の部屋です。」


「ナマエ、ナンテイウノ?」


「私の名前は、林葉 水奈【hayasiba mizuna】。」


そう、少女と呼んでいた少女は、

水奈という女の子だった。


「ヘエ、ソレデ、パパとママは?」


「え・・・え・・・知らない。貴方のタマゴが空から降ってきて・・・
 それを私が持っていたら今日、あなたが生まれたの。」


「アタチ、モウモドレナイノ?テンチノクニニ。」


「天使の国?」


「ソコハ、テンチノイルトコロ、テンチノセカイ。」


「わ・・・わからない。出来るかぎりお母さんとお父さん、
 探してあげるからね。」

「ウン・・・」


天使は黙りこくってしまった。

とにかく天使を元気づけようと、水奈は話しかけた。


「で、あなたの名前は?なんていうのか、まだ聞いてないよね。」


「ナイ。ママトパパカラツケテモラッテナイノ。
 ソウダ、ミズナガツケテヨ」


「うーん。じゃあテンシだから・・・テンナ。どうかな。」


「イイネ、ソレ。ジャアアタチハコレカラテンナナノネー。」


「うん、決まりっ!これから、宜しくねー^^*」



そういうことで、ミズナとテンナは仲良くなった。

でも、内心、テンナは母親と父親に会いたいと、強く思っていた。
E*ユメ
天使=テンナは、あるユメを見ていた。

それは、父=セラミと母=ピコラが冒険に出るユメ。

テンナを探しに二人が冒険に出たのだ。

向かっていたのはある扉のある場所だった。

その扉の向こうに行けば、

人間界に行くことができるという。

しかし、その扉へ行くのはまた大変。

天使の国にあるという、石、宝玉が4つ必要なのだ。

水の中に沈む青い宝玉、

ジャングルの中にある緑の宝玉、

月にいるウサギが持つという黄色の宝玉、

夕日が沈む直前の太陽から取れる赤い宝玉。

すべて見つけるのには伝説で、100年以上かかるという。

しかし、テンナを助けるにはそれしかない、

そう考え二人は冒険に出ることとなった。


そして朝が来た。

「おきて、テンナ。」

気が付くとミズナがテンナの身体をゆすっている。

「ア、ミズナチャン。」

「私、学校行かなきゃいけないの。
 明日から夏休みだから、そしたら一緒に遊ぼうね^^」

「ウン。」


そしてミズナは学校へ行った。

そのときも、ずっとテンナは夢のことを考えていた。

もしそれが事実なら、ワタシの母と父が今、冒険にでたのだ。

ワタシのために・・・・。

そうだ、ワタシがその扉へ向かおう。

そして、扉の向こうに行くんだ。

それなら宝玉もいらない。。。。はず。

でも、どこにあるんだろうか。

でも、ミズナと一緒にとにかく事情を話し、冒険に出よう。

ちょうど、明日から夏休みなんだし。
F*冒険の始まり
「ただいまー。」


あれこれ考えているうちに、ミズナが帰ってきた。

そして、思い切って打ち明けてみた。

ユメのことと、考えたこと、冒険に出たいということ。


「へ・・・そうなんだ・・・。でも冒険かー。お母さんには、
 おばあちゃんの家に長期間と待ってくるって言えばいいと思うけど・・。
 どこにあるかがわからないとね・・・。
 でもいっか、まずは実行しないとね。
 いつから出発する?」


そして、明日の朝から出発することになった。

ミズナは母に嘘をついて、翌朝、出発した。