プールサイドの手乗りグマ



by
芽羽




−1−
植草 沙希。

プールの試験2級をうけた。

合格。良かったぁぁぁ−−−−−−−!!

私はプールから出た。

するとそこには・・・クマ・・・?

手のひらサイズのクマがいる。

『貴方が沙希ちゃん?』

手のひらサイズのクマが言った。

『ぅん、沙希だけど・・・どうして名前知ってるの?』

『そんなの今関係ないよ。

僕は沙希担当なんだよ。』

この子、何言ってるの?

『私担当って・・・どういうこと?説明してよ。』

『此処はクローバー町1丁目でしょ?

僕はそこに住んでいる沙希って子の担当なんだよね。』

ふーん、そーなんだ。

『沙希ー、誰と話してるんだー?』

手乗りグマは私の真ん前にいるのに、何で見えないの・・・?

今まで科学を信じていた私は・・・違かったの?

『僕は他の人には見えないよ。

そぉぃぅ体質に最初からなってるんだ。

おっと、自己紹介が遅れたな。

僕の名前は、プール。プールサイドに座るのが大好きでね。』

プール・・・?そんな名前なんだぁ...

『ょろしく、プール。』

『うん。よろしく。

そういえば沙希・・・次1級か。頑張ってね。』

プールがそう言った時、プールの目にプールサイドが映った。

いつもと全然違う、輝くプールサイドが。

〔この子は何かの才能を持っている...〕

『おーぃ、沙希。一体誰と話してるんだ?独り言か?』

『ぁ、ぃえ...気にしなくていいです。

私、先に帰りますね。』

沙希はさっさと帰ってった。

後から手乗りグマ・・・じゃなくて、プールが付いてくる。

『僕、泳ぐのが得意なんだょ。

息止めだって言われた時間までずーっと出来る。

実はね、手乗りグマって生まれたときに好きな体質が選べるんだ。

僕は担当の人にしか見えなくてプールが得意な体質って決めたんだ。』

ほほぉ。凄い情報聞いちゃった。

・・・もし私が手乗りグマだとしたら

どんな才能を持ってるんだろう?

私はそんな事を思っていながら家に帰った。

『沙希、お帰りー!合格したんだって?良かったねー』

お母さんの喜ぶ声。

『別に、そこまで難しくないよ』

私はそれだけ言うと2階へ行った。

『沙希、今のがお母さん?美人だね。』

私のお母さん老けてるけど・・・

私がそう思ったとき、プールの目に映ったプールサイドのことを思い出した。

プールには本物と反対のものが見えるのかな・・・

じゃぁ、私でためそう。

普段私は可愛いって言われてるけど・・・

『ねぇ、私の顔どう?』

『ブサイク。』

やっぱりそうなんだ・・・プールに本当の事を教えなきゃ。

*つづく*