零の光闇狂 ―Sei Cielo―



by
空夜




プロローグ
堕ちては



           また巡り――…






          終わらない。






                この世から――…






      逃げることはできない。






              廻 る だ け
プロローグ:side 風葉
この世界各地の国々は自分が一番。
自分の国が一番素晴しいし、1番強い、美しい。
そのせいで戦争だらけ。思い込みが人を強くする。

そんなの絶対に可笑しい。
1番でなくてもいいと思ってるものは居ないのか?
誰も止めないのか?

私はその考えに便乗しない。
寧ろ否定する。
この考えに賛成する人は居る筈だ。
いや、絶対に居る。

この腐った考えをする人間を、世界を。
なおそう―――。

全てを無にする為に。


next...清き水の都
プロローグ:side 誉
どれほどの時間がたっただろうか。

どんなに祈っても届かない。トドカナイ…。
どれほど貴方を求めても、貴方は私の前には
現れてくれない。

例えば此処が深い闇なら
光なんて求めないのにね。

もう痛みは感じない。
感じるのは、静けさと溢れ出る血の温もり。

赤々とした世界も次第に狭まっていく。
この世界に終わりを告げて。

体は侵食されようとも、祈りは消えないから。

お姉ちゃん―――


next...清き水の都
プロローグ:side 冬袈
この国は美しくなんかない。
勿論、他の国もだ。

人間など醜く馬鹿な生き物だ。

しかし、こんな国も一応はボクの国だ。
ボクがこの国のルールとなって国を守ろう。
勝手な行動は許さない。平民も、王もだ。
戦争などしたら、どうなるんだろうね。

でも、この世界の決まりは
゛他国と争い自分の国を一番に″だ。
そんなの許さない。許されない。

この世界を零地点に戻そう。

その為のルール。


next...荒地の秩序
プロローグ:side 白夜
赤の雨が降る。
しかしそれも、いつかは止むから。

止む時は、沢山の人の願いが叶うだろう。

一番の幸せの時だろう。

そして、その幸せと共に希望は断たれる。

そんな輪廻が永久に巡る。

止まることのない輪廻が。


next...天機の祭壇
プロローグ:side 千草
暗がりの部屋 たった一つの窓。
見張りの居る世界で
ボクは生キル?

永久の輪廻 巡る罪

どんなに謝っても
罪の重さは変わらない。

一筋の光の中
ボクの中で囀り続ける声は何?

ああ、これは――…


next...罪と罰
プロローグ:side 火影
平和な国で生きていくのも
楽じゃない。

平和だと、いつかは争いが起きる。
そしたら私も何かしないと。

大丈夫。

お姉ちゃんと一緒ならね。
信じてるから。お姉ちゃんに会えるコト

その日まで、頑張ろう。


next...罪と罰
■□清き水の都□■
旅をして、もう何ヶ月たつだろう。
この辺に国はなく、ただ歩いてるだけ。
風葉も、ともに旅をしているカルラもくたくただ。

カルラは、人の言葉を話せる生き物で、
今まで風葉と一緒に居た家族だ。

それから30分歩くと
「カザハちゃん、あそこが水の国ヒーリだよ!」
と、カルラは言って北を指す。
その先にあるのは、湖に囲まれた小さな国だった。
2人は、その国を目指すコトにした。
距離はあまりなく、5分で着くものだった。
その国に近づくごとに感じる水の涼しさと、空気に
風葉は足を速めた。

「っと…この国のガイドは…」
と呟きながら歩いてても、人の気配は全くと
言っていいほどなかった。少し探して歩くと、
ガーデンの近くに髪の長い女の人が居た。
スグその人にガイドの場所を聞いた。しかし
「すみません、この国にガイドはないんです」
と返ってきた。
それを聞いた2人はお礼を告げ、去ろうとすると、
「もし良かったら、私が案内しましょうか?」
それを聞くと、2人は「お願いします」と言って
案内してもらうコトにした。