笑顔 …Happy…



by
砂功羅



T〜失い〜
「私には笑顔が無いんです・・・助けてください」



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名前は沙耶。4年前、母と父を失った。

今は祖父と祖母の家で、妹、弟、私、祖父、祖母で暮らしている。


「そう・・・辛かったでしょう」

祖母に出来ることはこの言葉をかけるだけ。


沙耶は14歳。妹と弟は双子で、12歳。

名前は美羽と卓。

あの時は母は32歳、父は35歳だった・・・

だが、4年前の事件で、母と父は死んでしまった。

泥棒に入られ、殺されたのだ。

その事件があった日は、沙耶と美羽と卓は、祖母と祖父の家に遊びに行く途中だった。

警察からの電話をうけて、沙耶は1日中、泣いていた。


その為、沙耶からは笑顔が失われた。


「なぁ、沙耶・・・今、お母さんとお父さんが生きてたらどうした?」

祖父が問いかけてきた。

「どうしたって・・・笑顔を失ってなかった」

沙耶の目からは、涙が出てくる。悲しくて悲しくて、もう限界だ。

「あたしも・・・母と父がここに居てくれたらどんだけ嬉しいか分からない」

美羽がぽつりと言った。


でも いつか 笑顔は 戻ってくる


「沙耶・・・美羽・・・卓・・・学校に行ってらっしゃい」

「うん・・・」

これがいつもの事。だけどやっぱり悲しい。

 ピンポーン

「沙耶・・・迎えに来たよ・・・学校、行こう・・・」

それは、私と同じ思いをした友達の、加奈だった。


何で私たちだけ不幸なのですか?
 神様、神様・・・私たちの笑顔を取り戻して


―――つづく―――