ガラス



by
Moe&Mei





エピローグ.....
届きそうで届かない...

あなたの心はまるでガラスのようで
触れてはいけない物みたいに....慎重に扱わなければならない。
それができるのは私だけのはずなんだ....
はずななのに.....
第一『距離』
『あ〜〜やかッ!!!!!』
ドンっと背中を押され、私はつまづいた。
『いッッ....たいなぁ...!!!!!!』
怒ったトーンで後ろを勢いよく振り向く私の視界に入ったのは...
翔太だ.....。

ー翔太ー
翔太は私の幼なじみ。
でもそれ以上の存在を感じるのは私だけ。
私はこの気持ちをずっと今も押し殺している....。
翔太に...好きな人に嫌われたくないから....。

「あははっ!ごめんごめん!」
翔太は、笑いながら去っていった。
翔太の顔を見るだけで、うれしくなる。

この思い、伝えたらどうせ、ふられるよね..
ふられたら..また今みたいに話せなくなる..。
だから私はあえて、告白させるまで待つ!
そう心に決心しながらも、この気持ちを押し殺すのは辛い。
「どうしたのン♪」
そう私に声をかけたのは、私の友達の由愛だった。
「ううんっ。なんでもないよー!」
綾音は、そういいつつも、この気持ちを誰かに話したかった。
スッキリすると思っていたから..―――

昼休み
「綾音ー!お弁当たべよ?どこいっくー?」
「屋上がいいなぁー!!」
私と由愛が、屋上に向かった。ドアをあけると、翔太が寝ている。
「別の所行こうかっ」
私はそういって、翔太から逃げた。
――..だって、会ったらこの思い、伝えてしまいそうになるから。
「んガッ」
翔太がいきなり起きて、綾音はあせった。
「あれ?綾音じゃん!」
翔太はニコニコ笑って、普通に話しかけてくる。
翔太は私の事、ただの幼馴染だとしか思ってないよね。

この思い、押し殺さないといけないんだよね..


ずっと..
『....ゃね!?ぁ〜〜やねッてば!!!』
由愛が呼んでいるのに気づかない私。
『ふぁ!?なに!?』

すっかり翔太に頭を占領されちゃった....
こんなにドキドキさせてくれるのは本当に翔太だけだょ...
『なに!?じゃないょ!!!ソーセージ!!フォークにささったまんまッ!』
と言いながら私のソーセージをかぶりつく。
『ぁー!!!あたしのソーセージ!!!』
『綾音が食べないからじゃん♪おいしぃ〜ッ☆』
屋上で空にむかって笑いつづけた私。
これが嘘の笑顔なんて....自分でも気づきはしなかった....。

そう....翔太がずっとこっちを見つめてたことも.....

放課後、いつものように由愛と帰ろうとしていた。
かばんに教科書を入れ、教室からでた。
綾音は、翔太をみつけて、声をかけようとした。

一瞬、時がとまったような気がした。
翔太が女の子と帰っている。
彼女かな・・?そう思い、走って帰った。
次の日、翔太が綾音にこういった。
「宿題見せて!!やるのわすれちゃってさあ!!」
翔太が憎い。せめて、私の気持ちにきづいてほしい。
「友達に見せてもらえば!?」
私は、翔太を強く睨んだ。
「いいじゃん」
翔太の声が頭に響く。

『 幼 馴 染 だ し 』

「..うん。いいよ」
私は宿題を差し出して、屋上に行った。
私は、友達としてでも女の子としてでも、何でもみられていない。

た だ の 幼 馴 染 な ん だ 。

翔太の言葉は、頭の中で響き続ける。
     幼 馴 染 . . 幼 馴 染 . . .
翔太とたくさん話して、幼馴染より格が上になったと思った。
でも、あがってない。一つもあがってない。


幼馴染のままなんだ..――


つづく