キズナ



by
かの



第一話
待って 待って 嫌だ…

行かないで―



「…嫌ぁっ!…??ゆめ…か………」

あたしはココロに大きな闇を抱えている


また今日も一日が始まる



無言で教室に入る

誰もあいさつをしてこない

みんながあたしに気を使ってくれている


さみしい?? そんな薄ぺっらいモノじゃない


「今日は転校生がいる」

担任の伝達事項

クラスは約束をしていたかのようにざわめく

「初めまして、桐谷朝陽っていいます」


きれいな黒髪ストレート
端正な顔立ち

女子が騒ぐような男子転校生

ありがちな話…


桐谷朝陽はすぐにクラスに馴染んだ

そして ある日あたしにこう言った

「何でクラスの輪の中に入らんの??」

「…………………」


答える必要 ゼロでしょ

あたしの何を知ってるの


「だけどクラスは桜サンの事、受け入れてるよなぁ…」

そうだよ 何年か前は一緒に笑っていた この場所で

「不思議な関係だな、なぁ、なんか有ったの?」

お願い 黙って…??

「うるさい」

「え?」

「調子に乗んないでっ…!!」

しつこい桐谷から顔をそむける

「やっとしゃべってくれた」

桐谷は無邪気に笑う

 いいな そんな笑顔 あたしも取り戻せたら…

「何でいきなり入ってきて…何にも知らないあんたに」

あたしは続ける 久しぶりに感情がうごめいた

「なんで悟られなきゃならないの?!!…何を知ってんのよ!!」


クラスのみんなの視線があたしたちに注目する―

あたしはそれを感じた途端
一気に熱が冷め、焦燥感に駆られた

「ごめん…でも知りたいから。俺とあんた似てるよ」


―は??

桐谷はあたしとクラスの関係を不思議、って そう言った

でも 桐谷のほうがよっぽど不思議だよ

何を根拠に あたしと桐谷が似てる って思ったのだろう


久しぶりに人に対して興味が沸いた――

最後に傷つくのは自分なのに… あたしは本当に馬鹿だ


だけど


アイツの眼 脳裏から外せない
第二話
雨。

綺麗な雨。

鬱陶しい季節。

眩い光。


眼を細める。
日差しは止まずに

あたしは顔を背けた。

―何も変わってくれない この世界―


 「あんたみたいな可哀相な人何処にでもいるよ?」

ある日言われた 他のクラスの女生徒に

知っている そんなこと

だけどあんたに言われる筋合いないよね

何が解るの・・・


―無意識に拳を振り上げていた―


憤りが留まることを知らず 確かな感覚 鈍い音


「いったい!」



あたしの心のほうが余程痛い


「ふざけんな」

あたしは叫びを堪えつつ怒りを声色に託した


そのころからかな… すべてがいやになった

視界が色褪せて 前がちっとも見えない

涙で潤す 景色は揺れた


みんなキライ
自分はもっとキライ


そんなあたしが好きなもの―

星……………………